2002年稽古納め~12月~

 はじめまして。 はわゆです。
 この第一回目の私のエッセイ。 …と言えば聞こえは良いのですが、HP立ち上げの準備期間で私、とにかく悩みに悩みました。
 タイトルが長いせいもあるのでしょうが、テーマが多すぎ(!)
 殺陣にしようか、アクションにしようか。 はたまた、護身術で飾ろうか。 いいや、いっそ皆さんのよく知らない世界という事で、真剣刀法にしたものか。 (T_T)
画像 059.jpg(作者注;「はわゆの殺陣&アクション、そして護身のテクニック講座)というのが、開設当時のタイトルでした★)

 勿論隠し武器についてや、時代劇で当然のように思っていた芝居上での嘘などのご紹介もたくさんしたいですし、ネタはごっそりあるものの、どういう順番を付ければいいのでしょう…。
 このエッセイでは、皆様からのご質問などを募集しております。 ネタの順番付けの為にも。 どうぞ、宜しくお願い申し上げます。 <(_ _)>

 今回は、初めてですので。
 取り敢えずこの頁を、まず読んでらっしゃる方もいるのではないかと想定して。
 私が通っている、殺陣道場総本部・武劇館での稽古風景などを紹介してみようかと思います。

 2002年の稽古納めは、殺陣、護身術と順調に進んで最後、真剣刀法の時間となりました。

「今日は君達に、初の試練を与える」
と、林先生のお言葉です。
 軽い型稽古が終って、試斬の支度も滞りなく終了。 2002年も、終ろうとしておりました。
マジックを取って来い。 こうして巻藁に線を付け、この線の通りに全部で七回斬るのだ。 線以外の所を斬ると減点。 一度斬り損ねると七回斬れないぞ」
130.JPG【武劇館の道場訓です】 試斬では、畳表を巻いて一晩水に浸けておいた物を、巻藁の代わりに使っています。
 畳一枚分巻いたものを、一本巻。 半分で巻いたもの半巻と呼んで、ここでは全員半巻稽古をしています。
 半巻で斬り方や角度を何度も稽古をした上で、一本巻きに挑戦するのです。
 本日私達の試練は、袈裟斬り(肩口から水月、つまり胃の辺りにまで掛けて斜めに斬る)に一番良いと言われる角度で。 畳表なので大体80センチ位の間を。
 とはいえ、試斬台と呼ばれる台に巻藁を刺す関係で、下から10センチは芯があって斬れませんから、まぁ、70センチ位の所を、七回同じ方向で斬って、自分以外の人に判定してもらう。
 袈裟斬りに一番良い角度は大体、30度から40度の間だと言われています。
 人がやってる時には、非常に楽しく。 自分が挑戦している時には、本当にできるのかと心配したり、緊張する時間の幕開けでした。

025.jpg太い方が、一本巻で、細いのが半巻です。 

023.jpg【試斬台です。 この芯の先に、藁を立てます】


 一人、二本。 右の袈裟斬りオンリー、七回。 左の袈裟斬りオンリー、七回。
 次に、袈裟斬りを左右で繰り返して6回で、1本。
 刀道での試斬の判定は、減点方式。 ミスをすれば、それだけ100満点から引かれていきます。
 結果が全員に判るので、道場内は異様なほど盛り上がっていました。

 特に袈裟斬りの左右連続は、一度斬り損なってしまうと、確実に6回斬れなくなってしまいます。 そのような場合は、次の一回を抜かして、その次のラインに挑戦するのですが、そこで角度がまた悪かったりすると、更に減点です。

 それぞれ、お互いが審査をしあうので見る目は厳しい。
 稽古場でこれ程盛り上がってよいのかという位、全員が緊張と、開放と声援の飛ぶ稽古でした。 (^0_0^)
画像 387.jpg【林先生の見事な、真横水平斬り】 稽古場はクライマックスを迎え、全員の試斬が終ってみると、半巻が一本残っています。
「みんな充分斬って、堪能した? じゃあ、俺が斬ろうか」
 林先生は、悠然とした態度で刀を腰に差しました。 
 通常ならここで、皆に今日の試斬での注意点やら、反省点などの有難いお話になるのですが・・・。 

 稽古場では、実際に巻き藁を斬る人以外の人が、その人の面倒を見ることになっています。
 試斬台に、巻き藁を立ててあげたり。
 例えば斬り損なって、試斬台を倒してしまった時などには、直してあげたり。
 足元に散った畳屑を掃き清めたり、汚れていたなら、雑巾で拭いたり。 お互いに、面倒を見合います。
 弟子の一人が巻藁を立てながら、何気なくこう言いました。
男弟子A「線でも付けてみます?」
全員 「え?・・・」
 ・・・そんな事は、と。 皆が笑いかけた瞬間、一人の女性が立ち上がりました。 (はわゆじゃありません~っ)
女弟子B「面白そーっ! やりましょう!!」
 一人言い出すと、道場内は騒然となりました。 我も我もとばかり、巻き藁に近寄ります。
男弟子C「難しい奴にしましょう。 絶対にできないような
女弟子B「今まで習った奴で一番難しい奴をしかも連続で!」
男弟子A「連続…って、ちょっと。 俺はただ、線をつけてみないかと冗談で」
男弟子C「あ、逆刀斬りを入れましょう!」
gyakutemochi.jpg【逆手持ちの写真です】 逆刀斬りとは
 刀を握る時、通常右手が上、左手が下の形で握りますが、これを反対に握ったまま斬ること。
 袈裟斬りでも、逆袈裟(俗にいう斬り上げ。 袈裟斬りの反対)でも真横斬りでも、やろうと思えば、出来ない訳ではありませんが、稽古の量が普通の斬り方よりは少ないので、難しいことは確かです。
 『諸手抜打ち』よりは、『片手抜打ち』の方が難しいか、など、どんどんレベルが上がっていきます。
「ちょ……、ちょっと」
 林先生の言葉は、もう弟子達まで届きませんでした。

 結局、『片手抜打ち』そこで逆刀に持ち替えて、斬り上げ、斬り下げ、また普通に持ち替えて真横を連続で四回という、誠に奇天烈な手が林先生に与えられました。

 赤マジックでくっきりと、さぁ、斬ってとばかりに線が書かれます。
女弟子B「できない、絶対にこんな事できないっ!!」
 言い出しっぺの女性は、喜色満面。 それぞれが自分の位置に戻りながら、わくわくするやら、気の毒がるやら。
男弟子C「…この中で、誰が一番意地悪なのか、よくわかった」
男弟子A「お…俺は、ただ。 線を入れましょうかってのは、冗談で」
画像 1451.jpg【2000年くらいから、はわゆサンは日本刀だけでなく、薙刀の試斬演武も始めました】 色々言うものの、止める人は一人も居ません
 全員の視線を一身に浴びながら、林先生はおもむろに巻藁の前に立ちました。
 結果が一目で判るよう、ギャラリーは全員、線が見えるように横の位置に陣取っています
「うーん。 ちょっと厳しいんじゃないの?」
 等と言いながらも林先生は、片手抜打ちの体制に入りました。
「こういう時はね、自分の気を大宇宙と合わせて。 一体になったように。 ゆったりとした、いい気持ちでやるんだ」
 などと言いながら。
 それでも結局、さすがは林先生。 最初の片手抜打ちから逆刀斬りの連続技までは成功! そして私達弟子達に、サービスなのか、それとも・・・?
 真横水平斬りは、一回目まではクリアしましたが、後はメチャクチャ。
 全員、転げまわって大笑い、大受け、大盛り上がりの稽古納めとなりました。
 2003年もまた、がんばりましょう。 (^_^)v

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