甲源一刀流・最終話・その伝統と技~6月(後編)~

 みなさま、こんにちは。 はわゆです。
 はわゆサンの剣術体験のお話も、とうとう佳境に入ってまいりました。
 その名も、甲源一刀流。 …仙人の口から語られる、その伝統の技と真実とは…!

images-9.jpg【甲源一刀流の達人、机龍之介】 前回は、この剣術における歴史について、お話をしました。
 つまりは、剣術として伝わっているものには、それぞれに歴史があって。 それらはつまり、長~く時を超えて伝わる『先人の教え』・・・というお話でした。 
 ちなみに、はわゆサン達が仙人から直に教わったのは、・・・そうですねぇ。
 回数にして、5・6回位でしょうか。 
 なんだ、そんな程度かと思いきや。 その間に、はわゆサンの受けた超(!)…衝撃。 
 それは、並々ならぬものであったのです…。 (-_-;)

 剣術とは言いながらも、その中身は先人達の語る教え…。 それが、とつとつとして、仙人の口を通して語られるのです…。
 そして、その内容はと言えば。
 それは、たかが『組手25本の教え』ではありません
 その中には、それを残そう。 そして伝えて行って欲しいという創始者の強い希望と、願いが込められているのです…。
中里.jpg
 良い機会なのでここで、甲源一刀流の初めの1本目立ち廻り(要するにお芝居)として、紹介してみましょう。
 甲源一刀流の教えは、全て組手形式です。 互いに木刀を持って、立ち会います。 殺陣師師の説明は、まずこんなところ。 

 甲源一刀流・五天の内一本目、『妙剣』(みょうけん)。

 勝つ方(稽古場語録で、正式には『仕太刀(しだち)』と言う)と、負ける方(同じく、正式には『打太刀(うちたち)』が互いに向き合う。
 勝つ方が、勢眼から隠の構えに。
 『いんのかまえ』とは、剣道でいう処の『右脇構え』のような構えで、全身を相手にさらけ出して、どこからでも来い…という構えになる。
 負ける方は、勢眼のまま。(正眼ともいう)
甲源一刀流.jpg【耀武館での立ち合い】 勝つ方が隠の構えからいきなり、相手の方へズカズカと攻め込んでいく。
 そして隠の構えから一度、天空を斬るように上段を通って真っ向面に。 
 その流れで相手の正眼の剣を叩き落して、中段に付ける。(中段は、水月の位置)
 そして、残心。 (互いに、一度正眼の構えから下段になって解刀してから、三歩下がる。)

 つまり相手の間合いに構わず攻め込んでいき、相手を圧倒したまま打ち込んで勝つ…という手です。
 ですがこれを仙人に説明して頂くと、それはもう…。 一味も、二味も変ります

 甲源一刀流の特徴として、すぐに『隠の構え』にはなりません。
 まずは一度、正眼の構えになり。 それから一度上段を通って、初めて隠の構えになるのです。

kamae-1.jpg正眼から

kamae-2.jpg剣先を上へ挙げて

kamae-3.jpgそのまま上段を通って

kamae-4.jpg右の脇構えに


 これはこの流派独特のもので、他の流派ではやりません。 
 そして、相手の間合いに構わずに攻め込んで行く訳ですが…。
 ところでその『隠の構え』ですが、その剣先は初めは後ろを向いていまよね?
 (写真・右の脇構え参照)
 それが後方から、上空を通って相手の面に向かって、一直線に。
 剣先で自分を中心に、半円を描くようにようにして相手の剣を叩き落す。
 …もしも、アウトドアでもやってみたら…。
 夜の闇の中ででもやってみたら、もしかしたらまぁ、そんな気になるかも知れません。

images-10.jpg【「天空を斬り裂くように」っていうと、イメージでいうと、こんな感じ…? 】 ・・・天空を中国で言う『陰と陽』に斬り別けるように、後ろから前方にかけて、一直線(!)
 天空『陰と陽』とに斬り裂きその力で、相手の剣を叩き落として、そして中段に付ける。
 ・・・これが、甲源一刀流の教えの中で、一番初めに習う組手である『妙剣』ですが、その教えが、これ・・・。 (;一_一)
 ・・・その時のはわゆサンの、正直な感想って。 ・・・まぁ、こんなモンでしょうか・・・。 
 はわゆサンの脳味噌の作りが暴露されますね…。 (^_^;)
 ・・・うーむ。 陰と、陽かぁ~・・・。
 ・・・昔はなぁー。 教科書もなかっただろうし(あくまで、はわゆサン一人の考えです)。
 剣術が、ただの喧嘩の手段ではない。
 尊い教えなのだと、主張するためにも陰と陽なのかナァー。
 ・・・しっかし、隠の構えから敵の剣を叩き落とすのに、わざわざこういうウンチクを付けるモノ・・・? (?_?)
 ・・・・・・さて。 はわゆサンの独りよがりな考えは、さて置き。 甲源一刀流の教えは、更に続きます。

 甲源一刀流・残心組の内一本目『霞隠』(かすみがくれ)。

 勝つ方は、勢眼の構え。
 負ける方は、右八相の構えから一度、相手の刀を上から押さえます
 それから直ぐに、上段になって斬り掛ろうとした、その瞬間…! 勝つ方は、いきなり『霞の構え』。
kasumi.jpg【これが甲源一刀流の霞の構え。構えれば、その先に春の景色が見える】
 …つまり、嘘騙し…とでも言えば、判りやすいでしょうか?
 相手が来ようとした瞬間に、こちらが先に剣先『相手の目に付けて』しまうのです。
 相手は不意を突かれもしますし、刀の切先が自分の眼に付けられる訳ですから、思わずドキッとする訳ですね。
 怯んだ隙を突いて攻め挙げる…とまぁ、この組手はこんな風に始まるのです。
 で、そこで甲源一刀流の教えです。 その『霞の構え』です。
 白いお髭の仙人は、はわゆサン達に、こんな説明をなさいました。

 霞の構え・・・
 ・・・私が、『霞の構え』になります。
 この構えになりますと、こう・・・私の剣先の向こうには、・・・
 春の山々の、こう・・・ぼんやりとした、ぼぅーっとした景色が広がるわけです・・・。
 霞の構えとは相手を霞ませるのです・・・。

 ・・・ふふふ・・・・・・。
 そのお話を聞いた、はわゆサン。 おもむろに、心の中で呟きます・・・。
 その構えの先には、春の野山(!)が見える訳です・・・。
華吹雪.jpg【イメージでいうと、剣の先に広がるのは、こんな風景なの…???】 ・・・ツクシが、生えていたり。
 メダカが泳いでいたり。
 時には、桜が散っているのかも知れません…。
 うーむ。 総天然色テレビで育った・・・はわゆサン★
 霞の構えを取ると、その剣の先には春の野山が見えるというお話に、大変な感銘を受けました。
 現在の時代では、薬(例えば、合法ドラッグ?)でもうってないと、それは見えないかも知れません。 (^_^;)
 でも、そうした教えが・・・何となく、日本の文化であるようにも、思えるのです・・・。

 さて。 大河ドラマの『武蔵~MUSASHI~』です。
 このドラマでは、様々な流派が登場いたします。
 まずは何と言っても主人公、宮本武蔵の創った『二天一流』。 そして、武蔵の胸を騒がす『柳生新陰流』。 柳生と共に、将軍家御指南役であった『小野派一刀流』。 
images4.jpg【大菩薩峠のカット。 甲源一刀流の使い手、机龍之介】 ・・・当主が居なくなってしまった為に、現在は伝える人も、そして、どんな技を使っていたのかも、想像の範疇を出る事が出来ません。
 京八流の流れを、汲んでいたのではないか・・・と伝えられる『吉岡流』
 小次郎の師匠であった、鐘巻自斉の『鐘巻流』
 そして一代限りで、もう伝える人もいない…佐々木小次郎の立ち上げた『巌流』
 槍の『法蔵院流』は、十字槍なのが特徴です。 忍者も出て来たりで、特殊武器の技も冴え渡ります。
 そして来年の大河ドラマは、『新選組!』。 
 知る人も多い、天然理心流です。

 林先生は様々な古流の流派をご存知ですが、先生が教えてらっしゃるタレント養成所でもそれを教えていらっしゃいます。

 生徒達はやはり、有名な流派を好むようです。 ですが、こうした古流の武術は、立ち廻りのようには巧くはいきません。
 立ち廻りでなら3回でOKを出す生徒も、この古流の剣術では4・5度と。 挑戦を、繰り返します。
新撰組.jpg【この走っているのは、ウチのメンバーらしいです。 監督さんが、「ひたすら走っているオープニングもいいのでは」とおっしゃったので、あのようなモノになったとか★】 林先生とも話し合ったのですが、立ち廻りの振付なら、3回位で覚えてしまう生徒でも、例えば柳生新陰流の燕飛の太刀(えんぴのたち・隠し技を6個繋げたもので、難しい)などやらせると。 
 ・・・多分、納得がいかないのでしょう。
 何度も。 何度も繰り返して、稽古をしています。
 相手との間合い。
 相手に打ち込んでいくタイミング。
 どれか一つでもズレると、間の抜けた、何だか訳の判らないものになってしまいます。
 また林先生が技の一つ一つを丁寧に説明してくださるので、まずそれに納得してから。 それから稽古をするので、自分がおかしな事をしているのが、余計に判るのでしょう。
 はわゆサンと周りの人達と、剣術体験は、どんどんと続きます。

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