伝説の『階段落ち』~11月~

 暑かったり、寒くなってみたり。 気候のほうはすっかり謎めいている今日この頃ですが皆様、如何お過ごしでしょうか。 こんにちは、はわゆです。
 『武蔵』とNHKのお正月ドラマに当る『大友宗麟(そうりん)』の撮影が終って、いくらか平穏な日々がやってきました。
大友宗麟.jpg【大友宗麟は、キリシタン大名のお話です】 これまでの忙しさで、少しは痩せたらいいのに・・・。 
 そうは行かないのが世の中ですよね、あぁ・・・。(^_^;)

 さて、これまでの『受け身シリーズ』のエッセイも、とうとう佳境に入ってまいりました。
 はわゆサンの体験を通してお送りしている、この『はわゆの日々』。
 今回は林先生のとある台詞から、始まるのでございます・・・。

「あのさぁ。 二間(にけん)って判る・・・?」

 は?  (・_・;)
 ・・・ニケンって、家が一軒とか二軒とか・・・?
「違う。 距離のこと」
 あぁー・・・。 畳を縦にして2枚分っていう、長さのことですよねぇ…。 (・_・;)
「うん、そう。 高さにして、・・・そうだなぁ。 二階くらいの高さかなぁ・・・」
 ・・・へぇー・・・。 (゜o゜)
その高さから落っこちる事って、出来る?」

川.jpg【時代劇のセットでしたが、まぁ、こんな感じの高さから落ちる訳ですよ】 ・・・うーむ。 (-"-)
 実はちょっと、高所恐怖症っぽい・・・はわゆサン。 そんな高さからは、一回もやった事ないけど、大丈夫かなぁ・・・。
 でも、ぶわぶわマット(走り高跳びで使っているような)を敷けばなんとか、いけるかも。
 なーんて。 暢気に構えているようですが、実は・・・はわゆサン。
 スタントをした経験なんて、一度しかないのです。

 それは、川に身投げをする・・・というシーンでした。

 橋の上から落ちるのですが、そこはセット。 水は50センチ程しか、張ってもらえません。
 折りしも時は、江戸時代。
 もちろん鬘(かつら)を付け、時代的衣装を身にまとっています。
 ・・・それで橋から落ちた勢いで、前に倒れて。 何とか水に沈んで欲しい・・・。

 ・・・人間の体がたかだか、50センチ程度の深さに、潜り込めるのでしょうか・・・。
 不安を隠しきれない、はわゆサンでしたが、問題は、それだけではないのです。

 人間の体とは本当に偉いもので、無意識防御本能が働いてしまうことがあります。
 例えばこの場合、高い所からまず飛び降りるわけですが、その場合にトンと。
 膝を緩めてバウンドをすることで、その衝撃を和らげようとしてしまうのですね

画像 040.jpg【武劇館の風景。脚立は外にあって、必要に応じて稽古に使われる。緑色のが、ぶわぶわマット】 ですがこの場合には、トンとしてはいけません。
 何故って。 そんな事をしては川に飛び込んだようには見えなくなってしまうからなのです…。 
 ・・・・・・結局、3回やって何とかOKを貰えたものの、それ以降、はわゆサンがスタントをする事はありませんでした。
 何故って。
 女性のスタントはたいてい、男性がやってしまうからなのです・・。
 顔や体付きがバレなければ、それで済んでしまう訳で、今回は本当に久し振りに女性が2名だけ、使われることになったのです・・・。

 林先生は、はわゆサンに試験をしました。
 2メートルの脚立の上に立って斬られたという流れで落っこちられるか・・・というテストです。
 とはいえ、その上に立つとなると、はわゆサンの目から地上までの距離は大体、3.6メートル…
バンジー.jpg【ここまで高くはないけれど、はわゆサンにとっては、こんな感じ★】 そんな所に、生まれて初めて立った・・・はわゆサン。 そこは、随分な高さに思われました・・・。
 ・・・はわゆサンの為に仲間たちは、脚立を押さえるやら、ぶわぶわマットの上に座布団まで敷き詰めてくれるやら。
 ・・・これで出来なかったら、女の名折れ・・・。 
 ・・・でもっ、でもやっぱり、初めての高さなんですぅ~・・・。 (T_T)
 その時、はわゆサンの脳裏に、新(あたらし)さん第10話・『立ち廻りの受け身』参照の顔が浮かびました。
 前回のスタントをした時に、教えてもらったのです。
 もし、高いところが怖かったら段階を踏むといい
 少しずつ高さを上げていく事で、恐怖心が薄れていくものだから。

 さて、いよいよ本番です・・・。 

 このような撮影の場合は、一発OKで決めなくてはなりません。 

 もし、これがもう一度という事になってしまうと、たとえば、顔に付いたり、衣装に付いてしまった血糊(ちのり)の始末など。 
 とんだ手間になってしまうからです。

 今回の場合は、謀反を起こした侍が二人、屋敷へと襲って来るのです・・・。
 表門から馬で乗り付け、何人も斬った挙句に侍たちは階段を登って攻め寄せます。
 そこで二階に居た女性二人も、何とか主人を守ろうとしたものの、あえなく斬られてしまうのです・・・。
 監督の意向で女性の一人は、 『階段落ち』。
 もう一人は二階の欄干を越えて一階の床へ落ちる・・・ことに決まりました。
蒲田2.jpg【階段落ちで有名なのは、「蒲田行進曲ですよねっ♪】 はわゆサンは、後者の方です。
 撮影現場には、ぶわぶわマットが無かったので、スタッフの方がマットレスを何枚か敷いて、その上に毛布をまた何枚か重ねてくれました。
 ここでマットをうず高く積んでしまっては逆に、落ちた・・・という感じが出なくなってしまうので、その辺が辛い所。
 仲間達が、・・・はわゆサンの為に、マットがズレたりしないように押さえて、守ってくれました・・・・・・。
 もしここで、怖ーいっ、出来ないーっ・・・なんて、言ってしまっては。
 女の、名折れです・・・・・。 (T_T)

 はわゆサンの『落っこち』の結果は、お正月ドラマ・大友宗麟・・・。 (1月4日放送予定)

 謀反を起こした侍たちも、多勢に無勢で、ついには捕らえられてしまいます・・・。
 そして・・・先程駆け上ってきた階段の上から、無残にも突き落とされ、槍に突かれて、壮絶な最期を遂げるのです・・・。
 その・・・時に行われた『階段落ち』。
 はわゆサンの大先輩が行ったものですが、それは見事なものでした・・・・・・。
蒲田3.jpg【つかこうへいさんは、2010年に亡くなられました。 ・・・そういえば、原作って読んだコトないかも★】
 はわゆサンが今度、階段落ちをするかも知れない・・・と、家族に話してみたところ。
 昭和1ケタ生まれの母は、くすん、くすんと泣いてみせてくれました。
「お前・・・、あれでしょ? あ、あれ? 今ちょっと映った、あれがお前かい・・・? って位しか、画面に映らないんでしょ・・・?」
 ・・・・・・・さすがは、お母さん。 よく分かっていらっしゃる・・・。
 でも親なんだから、少しは喜んでよーっ。 (~_~メ)

 5つ年上の兄などは、大反対。
「お前っ、そんな危険なことは、絶対にやめろぉっ!!」
 ・・・危険と言われると、はわゆサンも少し怯んでしまいます。
「でも・・・大丈夫だよっ。 林先生が付いてるんだからっ」
 それが、最後の砦・・・とばかりに、言い返すと兄は言いました。
「やめろよ・・・そんな・・・階段落ちなんて。 ・・・だって銀ちゃん大怪我してたじゃないかっ!!」(映画『鎌田行進曲』参照)
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 林先生にその話をした所、抱腹絶倒!
1.jpg【林先生がデザインした、武劇館マーク】 ・・・はわゆサンとしては、兄に安心をさせてやりたくて何か、アドバイスはないか・・・と聞いたところ。
 林先生は、おもむろに一言。
「・・・それは銀ちゃんじゃなくって。 たしか、ヤスの方だっただろ・・・」
 ・・・・・・映画では。 ヤスは、階段落ちをしてその後に。 
 ・・・包帯が、ミイラのごとくグルグル巻きでした・・・。 (-"-)

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